
人間が行なっている点検作業をドローンが代替できれば、 コストも時間も節約できる
JSR・桝谷昌隆さん 大手化学製造業のJSRでは、プラントの設備点検にドローンを使用している。化学業界でドローンを導入するメリットや今後の課題について、JSR生産技術部長の桝谷昌隆さんに伺った。 ドローンで点検作業を行うメリットは多々ある —JSRはプラントの設備点検にドローンを導入していますが、そのきっかけは何だったのでしょう? 「経営トップである小柴満信会長が示した『工場のIoT化にロボット技術を導入することで、競争力強化を図っていきたい。そのために革新的な技術の一つであるドローンを活用すること』という方針のもと、2016年から実証実験をスタートしました。当時は現在ほどドローンが普及していなかったので、機種選定や操縦者の確保など、手探りで進めてきました」 —ドローン以外に活用している技術はあるのですか? 「ロボットや自動走行のカメラなどに取り組んでいますが、うまくいっている分野、苦戦している分野があります。ドローンは時間がかかっていますが、着実に前に進んでいると思います」 —具体的にドローンでどんなことをやるのですか?またそのメリットは何ですか? 「配管や設備の外面腐食などの老朽化に対して、今まで人間が行なっていた点検をドローンに託していきます。結果、点検作業の負担の大幅な軽減が見込めますし、足場を組む必要がないので、時間とコストの削減になります。人間が容易に接近できない場所の点検が可能になり、プラントを長く停止して行うメンテナンス期間を短くできるので、生産機会の損失も防ぐことができます。また、足場を組んだ補修が必要な場合でも、事前の状況確認や部品手配、やり直しのない適切な補修計画作りなど、メリットはたくさんありますね」 —桝谷さんご自身が、ドローンの有能ぶりを実感したのはどんな点ですか? 「撮影画像の鮮明さでしょう。高い位置などで目視距離が遠くなると、設備状態を確認するのが難しくなりますが、画像がとてもクリアで見やすい点です。ドローン以外にも様々なツールがありますが、高所での使い勝手を考えると、ドローンはかなり有効です」 ドローンが撮影した映像。データはAIによって分析し、腐食などの点検を行う —では、課題があれば教えてください。
2021.04.20
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