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5Gの導入が進む日本の姿とは

2020.08.14

自宅だけではなく、外出先や移動中の電車の中などで多くの人が利用しているスマートフォン。場所に囚われることなく相手とコミュニケーションを取ることができるだけではなく、仕事や情報収集など、さまざまなシーンに対応できることから、現代人において欠かせないアイテムといえるだろう。

スマートフォンが日本で初めて発売されたのは、今から15年前の2005年。日本初のスマートフォンといわれている端末は、スライド式物理キーボードを搭載していた。当時の主流だった携帯電話よりも、できることが格段に増えたこともあり、半年足らずで15万台ものヒットを記録。その後、iPhoneの登場や各社からスマートフォンが発売されるようになり、さらに便利な機能が登場し、日々進化し現在に至る。

そんな携帯電話やスマートフォンとともに進化し続けているのが、移動通信システムだ。近年では“5G”の導入が日本でも進んでいるが、5Gがとはどういうものかわからない人も多いはず。今回は、5Gが導入される未来について考えていこう。

5Gの3つの特徴

5Gとは、最初の携帯電話が使われていた移動通信技術から数えて5世代目の技術のため「5th Generation」の頭文字を取ったもの。日本語では「第5世代移動通信システム」と訳される。5Gは、先代の4Gに比べて飛躍的に通信技術が進化しただけではなく、大きな3つの特徴がある。

■高速、大容量
端的に説明すると、データ通信量が今の数十倍の速さになるため、映画のダウンロードやファイルのアップロードが数秒で完了。待ち時間を気にすることなく通信をすることが可能になった。また、ひとりひとりの通信がすぐに終わるため、一つの基地局にアクセスが集中しても、4Gよりも多くの通信が扱うことが可能になった。

■低遅延
遅延とは、通信を行うときに、スマートフォンと基地局の間を往復する際に発生するタイムラグことで、基地局からの反応速度が早くタイムラグが少ない状態を低遅延という。5Gは、反応速度が早く、より安定した接続が可能なため、オンラインゲームも遅延を意識せずプレーすることが可能だ。

■多数接続
「グラント・フリー」という技術で、スマートフォンなどのデバイスと基地局の通信をシンプルにすることで、デバイスの同時接続数を多くすることが可能になる。さまざまなデバイスが同時に接続することが可能になれば、さらに、IoTデバイスや自動車などあらゆるモノがネットワークに接続される。

 

このように、5Gを導入することで、通信速度をあげることができるだけではなく、より多くの通信を同時に行うことが可能になる。それにより、今まで実現できなかった自動運転の実用化や新たなサービスが次々に生まれるだろう。

5Gがもたらす変化とは

前述の通り、5Gの導入が進むことで、私たちの生活に大きな変化が起きることが予想されるだろう。

エンタメ業界で言えば、NTTドコモが2020年1月に新しいVR動画サービス「新体感ライブ CONNECT」を発表した。これは、モバイル端末で音楽ライブやマルチアングル視聴などのコンテンツが楽しめる従来の「新体験ライブ」に、5Gの高速・大容量という特徴を生かした、8KVRライブを新メニューに加えたサービスだ。

NTTテクノクロスが開発したストリーミング配信ソフトの「パノラマ超エンジン」や高効率配信技術を使用し、大容量のデータをリアルタイムに処理することで、配信される低解像度の映像データから、ユーザーが視線を向けた方向の映像だけを高解像度化することできる。これにより、「VRゴーグルやスマートフォンを使って音楽ライブを特等席で楽しむような感覚」を味わうことができる。

さらに、5Gの導入は、医療業界でも期待されている。過疎地域においては、医師不足が問題となっているが、5Gの低遅延が実現することにより、高精細化した医療で使用される大容量の画像の送信が可能となるため、遠隔治療の実現が期待されている。それに加え、ウェラブルデバイスを使用することで、リアルタイムで患者のモニタリングやVRを使用した診察環境の構築も期待されている。

5Gの普及すれば、都市でしか味わえなかった体験が、地方にいながらも体験できることが増えれば、東京の一極集中も緩和する。

時代とともに進化を続ける

「高速、大容量」、「低遅延」、「多数接続」を実現させる5Gが導入することで、さまざまな分野がネットワークに接続され、便利な世の中になることが予想されるが、サイバー攻撃を受ける確率の上昇や情報漏洩など、大きなリスクも存在する。

技術が進化することで、新たなリスクが生まれる。それに伴い、私たちも今までになかったリスクを常に意識する必要があるだろう。IT技術が日々進化していくように、私たちも時代に合わせて、進化し続ける必要があるのではないだろうか。

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