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新型コロナで外食産業は“ゴーストレストラン化”が進む

2020.07.10

世界的に感染が拡大し、猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナウイルス)。海外では感染拡大予防のために、ロックダウンや外出すると罰金などの対応が取られている。日本でも、緊急事態宣言の発令や外出自粛要請を受けて不要不急の外出を控えるなど、さまざまな対応を行なってきた。さらに、時差出勤やテレワークの導入を始めた企業も多いのではないだろうか。

しかし、外食産業や観光業は、客が来店・訪問をすることが売り上げに直結するため、営業自粛要請や外出自粛要請の影響で売り上げが激減。そうした状況を打開すべく、新たなサービスの導入や営業方法の変更を考える店舗は少なくない。このように、新型コロナウイルスは暮らし方はもちろん、働き方にも変化をもたらしている。今回、特に打撃を受けている外食産業について見てみよう。

新型コロナウイルスをきっかけに変わる外食産業

回転ずしブランドの「かっぱ寿司」や手作り居酒屋「甘太郎」などのチェーン店を展開する株式会社コロワイドは、新型コロナウイルスの影響で2020年5月に不採算の195店舗を閉店する方針を発表。さらに、株式会社ジョイフルが展開するファミリーレストラン「ジョイフル」も、既存店売上高が前年に比べ、半分以下に落ち込む状態が続いているため、200店舗を閉店させることを発表するなど、外食産業では過去に例がないほどの閉店ラッシュが続いている。それに伴い、外食産業で働く人は、収入が減少し大きな不安を抱えているという。

和食レストランで働くKさんの店舗では、緊急事態宣言が発令されたことで、一カ月以上店舗が臨時休業に。休業中の給料については会社から休業保証は出たものの、満額ではないため収入が減少。さらに、6月から営業再開するも、人件費の削減や営業時間短縮の影響で希望通りの勤務ができないため、臨時休業前の給料に戻らない状況が続いているという。

店舗の売上は良くも悪くも従業員の収入に直結する。今回のような状況が長引けば、給料はおろか店舗の経営が傾き、やむなく閉店ラッシュの波に飲み込まれることも想像に難くないだろう。

そうした状況を打破するべく、外食産業では生き残るためにデリバリーやテイクアウトを導入する店舗が増えたり、3密対策に配慮した新しいサービスを始めたりする店舗が増加。それに加え、外食産業を支援するサービスも増えている。

例えば、Google LLCが提供する地図「Google Maps」はもともとマップ上に飲食店情報が記入されていたが、テイクアウトやデリバリーサービスの需要が高まっていることを受けて、マップ上に、テイクアウトやデリバリーサービスを導入したことを発信するサービスを導入した。これにより、消費者は店舗ごとのWEBサイトを見ることなく、テイクアウトやデリバリーサービスを導入しているか確認することができる。

また、PREO DESIGN合同会社では飲食店の食券前売りサービス「みらいの食券」を運営している。これは、飲食店の食券(回数券)を発行し、スマホで販売できるサービスのことだ。事前に決済されることにより、店舗の収益構造改善だけではなく、回数券のため来店が促され、常連化にも期待できる。

このほかにも外食産業を支援するサービスが続々と登場していることから、新サービスを導入してコロナ禍を乗り切ろうとしている経営者は少なくないだろう。

実店舗を持たないゴーストレストランや無人化が進む外食産業

先述のように、社会情勢に大きな影響を受ける外食産業だが、新型コロナウイルスをきっかけに、営業方法だけではなく店舗の在り方にも大きな変化が起ころうとしている。

その一つに、「ゴーストレストラン」という仕組みが注目されている。ゴーストレストランとは、実店舗を持たず、オンラインのみで注文を受け付け、サービスを提供するフードデリバリー専門店のこと。調理は間借りするキッチンやゴーストレストラン用のシェアキッチンなどで行い、「UberEats」などのデリバリー代行サービスを利用して配達する、という仕組みだ。

これにより、店舗取得費や内装工事費などの開業初期費用のコストを抑えることができると同時に、ホールスタッフを雇う必要がないため、人件費の削減にも繋がることがメリットと言えるだろう。さらに、通常のレストランであれば、その日の天候によって売り上げが左右されることも多いが、ゴーストレストランであれば天候による影響を受けにくい。むしろ、悪天候である方が「家から出たくない」という心理が働くことから売り上げが伸びる可能性があるだろう。

また、さまざまな分野でデジタル化が進んでいる中国では、AIやロボットを使用した「無人レストラン」や「スマートレストラン」といった新しい店舗が次々と登場。外食産業も“無人化”が進んでいる。中国の24時間営業のスマート無人コンビニ「5F未来商店」では、店内全ての商品をタッチパネルの操作だけで購入できる。タッチパネルから購入したい商品を選択し、QRコード決済を済ませることで、暖かい料理が提供されるという仕組みとなっている。5F未来商店で購入した商品は、店内にあるイートインスペースで食べることができる。食事を終えたらテーブルに設置された清掃ボタンを押すだけで、テーブル上のものを全て内部に設置されたゴミ箱に捨ててくれるというシステムを導入している。

そのほかにも、中国の小売大手・東京集団が運営する「東京X未来レストラン」では、調理や出来上がった料理の配膳といった業務をロボットが担当。さまざまな分野でデジタル化が進んでいる。

このようにお隣の国・中国では、飲食店も無人化の動きが活発で店舗数も増えている。日本でもそう遠くない未来でロボットやAIなどを活用した飲食店が増え、いつしかロボットがメインで運営する飲食店が主流になるのではないただろうか。

働く負担が減る未来へ

社会情勢の影響や技術の進歩によって暮らし方だけではなく、働き方にも変化が起きている。今後さらにデジタル化が進み、働くためのロボットやAIなどが一般的に普及すれば、人間の負担は少なくなるだろう。

集客の核となるのは料理の味ではあるが、今後はさらに時代の流れに沿った店舗の在り方や働き方を模索していく必要がありそうだ。

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