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ニューノーマル時代の働き方として定着するのか? ワーケーション最新トレンド

2021.09.20

新型コロナウイルスの影響により、オフィスに出勤するだけではなく様々な働き方が見られるようになった。ワーケーションというワーク(仕事)とバケーション(休暇)を掛け合わせた造語も浸透し、帰省先や旅先でリモートワークをする働き方が可能だ。

言葉として浸透しているワーケーションの、その実態に注目しよう。

ワーケーション制度導入の検討をしたことがない企業が8割以上

日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する株式会社月刊総務が全国の総務担当者を対象に2021年に実施した「ワーケーションに関する調査」によるとワーケーション制度について「導入を検討したことはない」という答えが85.4%だったという(*1)。ワーケーションを実際に取り入れるどころか、導入の検討もしていない企業が多いというのは意外な結果に感じられるかもしれない。観光庁ではワーケーションを「新たな旅のスタイル」促進事業の中に位置付けており、政府も普及を促しているが、現場では何が課題になっているのだろうか。

その理由は、ワーケーションに対するネガティブなイメージから見えてくるかもしれない。月刊総務の同じ調査ではワーケーションに対するポジティブなイメージとネガティブなイメージもまとめられている。ポジティブなイメージでは「社員のワーク・ライフ・バランスが向上する」が59.4%で最も多く、「従業員満足度が向上する」が56.5%、「テレワークが促進される」が55.1%と続いた。

画像出典:株式会社月刊総務のプレスリリース(2021年6月3日発表、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000060066.html より)

一方のネガティブなイメージでは「仕事と休暇の線引きがあいまいになる」が67.4%で最も多く、「マネジメントがしづらい」が65.9%、「労務管理が難しい」が65.2%と続いた。マネジメントのしづらさや、労務管理といった具体的な内容よりも一番懸念されているのが気持ちの切り替えだとわかる。

仕事メインのワーケーションが主流か

ワーケーションという言葉の中で、ワークという仕事に重きを置いている傾向は他の調査からも見られた。ホテルワーク予約サイト”Otell”を運営する株式会社ガイアックスが2021年6月に発表した調査によると「休暇をメインとしたワーケーション」だけではなく、環境を変えて通常通り仕事をする「仕事をメインとしたワーケーション」を希望する人が約47.8%だったという(*2)。

半数近い約47.8%が仕事を6割以上行う「仕事メインのワーケーション」を希望し、若い人の方が仕事8割以上の仕事中心、年齢が上がる程に休暇中心のワーケーションを求める傾向があったという。

画像出典:株式会社ガイアックスのプレスリリース(2021年6月29日発表、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000435.000003955.htmlより)

旅行の合間に仕事ができるため、長期間の休暇を取れるのがワーケーションの大きなメリットだが、「仕事メインのワーケーション」は、「休暇メインのワーケーション」に比べて、平日のみを希望する割合が2倍以上あり、期間も短くなる傾向があった。

ワーケーション定着のために

制度の導入だけでなく、ワーケーションをただオフィスの外で働くための制度としないためにも、より具体的なメリットやイメージを持てるよう働きかける必要がありそうだ。コロナ禍の影響でリモートワークが浸透したように、ワーケーションもニューノーマル時代の働き方のひとつとなるのだろうか。

【出典】
※1 月刊総務オンライン「8割以上がワーケーションの導入を未検討。ネガティブイメージは仕事と休暇の線引きが曖昧になる」
※2 株式会社ガイアックス「【ワーケーション実態調査】約47.8%が「バケーション」だけではなく「ワーク」も重視し旅先選定」

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