総務省は平成27年度から、テレワークの導入・活用を進めている企業・団体を「テレワーク先駆者」とし、その中から十分な実績を持つ企業等を「テレワーク先駆者百選」として公表している。そこで、実際に選定された企業の取り組みから、テレワークの現状を見ていこう。
社員のライフワークバランス向上を目指す
「テレワーク先駆者百選」はテレワークの導入・活用を進める団体を広く募集し、審査・認定しているもの。今年度に選定された企業のひとつであるカンロ株式会社は昨年より経営基盤の強化として「サステナブル経営の深耕」を掲げ、在宅勤務を後押しする制度を拡充している。社員の働き方の選択肢を広げ、ライフワークバランスを向上する施策として、2020年2月よりテレワークの本格運用を開始しているという。
フレックスタイムのコアタイムを見直し社員のより柔軟な働き方を可能とするためにフレックスタイムのコアタイムを見直し、10:00-15:00から13:30-14:30へ短縮。
対象者全員へパソコン・スマートフォン・SIMカード貸与(一部プリンター等貸与)テレワークの対象者全員へパソコン・スマートフォン(通話・テザリング用)・SIMカードを貸与し、利用ルールを明確化することで、セキュリティの確保とともに社外でも仕事をしやすい環境づくりを整える。また必要に応じてプリンター・大型液晶モニターも貸与。
テレワークによるペーパーレス化社内稟議の電子承認システムを導入し、ペーパーレス化を実現しています。この取り組み等により、コピーカウント率は2019年1~8月から2021年1~8月の比較で42.7%削減している。
テレワークの効果を実感
カンロ株式会社では実際にテレワーク導入の効果を実感しているという。
テレワークの標準化 現在、社内での対象者のテレワーク率は平均55.7%(2020年6月~2021年8月までの平均)となっており、テレワークによる働き方が標準になっている。社内アンケートでも、今後もテレワークの継続希望率は82%。
残業時間の削減 テレワーク時の始業・終業の連絡や業務報告をマニュアル化することなどで残業時間の削減に繋がり、育児者・介護者を含む多くの社員がライフとワークを両立できるようになった。
リモート転勤制度の導入 異動先が常時テレワーク可能な場合は、転居を伴わない転勤を可能とした。これにより、単身赴任者が自宅や家族と離れることがなくなり、地方の人口減少の歯止めや単身生活による健康影響の向上が期待される。
ニューノーマル時代の働き方としてコロナ収束後もテレワークが継続されるのか注目の中、実際に効果を感じている企業の動きは他の企業にとっても後押しになるだろう。
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